音楽クイズ NO.99 怪盗ギロ 月光村の埋蔵金


 世界的に有名な建築家の加古川和音は、建築に自然の音をたくみに利用することから「音響(おんきょう)の鬼才(きさい)」とも言われていた。その彼の最後の仕事が、出身地「月光村」の村おこしに関係した、リゾート計画だった。
 私、人よんで怪盗ギロは温泉には目がない。稼業(かぎょう)のあいまに、いろんな温泉を訪ねている。今回は「月光村」を訪ねてみることにした。加古川和音氏の設計した洞窟風呂(どうくつぶろ)と「星ふる月光村」というコピーと、さわやかな初夏の風にさそわれたためだ・・・。


 ゴツゴツした小高い丘の斜面に洞窟風呂はあった。湯につかり、耳をすますと、しずくの音が洞窟内にこだまする。石琴ともいうべき美しい音色で、これが確かに和音となって心地よく響く。
 外を見ると満天の星空がひろがり、天の川がまぶしいほどに夜空にかかっている。コピーにうそはなかった。・・・地上を見渡せば、あたたかい村の明かりと、明るい月の光に照らし出された野山がうきあがって見える。地上の川が光って流れ、・・・おや、橋だろうか。・・・ なんと、いくつかの橋につけられた反射板が、月の光をうけて、空を舞う鳥の星座のように見えるではないか。・・・彼は、地上に小さな星座を描いたのにちがいない。
 洞窟風呂にある石板には、彼のことばがほられていた。
 「心ある人々に、わがふるさとの美しい自然の歌を伝えたいのです。・・・
 そして、その歌が一つに結ばれる所に、私の わずかばかりの財産を埋めました。
 よければ、探してみませんか。」

 埋蔵金(まいぞうきん)?・・・

 車で宿に向かう。宿は、小さな山の中腹にあり、昔の小学校をリフォームしたものであった。入ったとたんに、なんとも言えないなつかしさを感じた。
 食事をしながら、宿の奥さんに埋蔵金のことをたずねてみたが、まだ、掘り当てた人はいないとのこと、また、見つけた人には村から何らかの懸賞(けんしょう)が出るらしい。ふ~む・・・
 宿のそばの大きな木から聞こえる夏鳥たちの声で目をさます。さわやかな初夏の空気の中、散歩に出かけた。宿がある山の中腹からは、村全体が見渡せる。左方向に湖・村の中心部・畑などが、正面には田んぼ、向こうの丘の上に洞窟風呂が見える。右方向は牧場と畑。とりあえず、下に見える橋まで行って見ることにした。
 橋はかなりモダンで風変わりな鉄橋であるが、不思議に村のふんい気とは違和感がない。橋の名前は「月光橋-GECHOR.bridge」か・・・下を流れる川は「月光川」で「月光湖」から流れてくる。実にすみきった流れである。川遊びも大いに楽しめそうだ。
 おや、学校へ行く時間だろうか。子どもたちが元気にやってきた。・・・橋を渡り出すと子どもたちは手のこぶしをにぎり、橋のらんかんのつきでた部分をたたきながら歩いていく。 コンコン コンコン と楽しそうにリズムをとりながら・・・。
 はははは・・・なるほど。加古川氏の埋蔵金のしかけがわかってきたぞ。
 さて、諸君。埋蔵金のありかは・・・? そのしかけとは・・・?