(答) 宿(元小学校)のそばの大木の下。
加古川氏は「音響の鬼才」と呼ばれていた。
洞窟風呂にしかけられていたのは、「確かに和音となって」聞こえたしずくの音である。
「月光橋」では、コンコン・ コンコン・ とらんかんをたたくと、聞こえる音の組み合わせ。
その音とは、橋の名前にかくされていた。・・・GECHOR(GとEのコーラス)
そして、一つの線で結ばれた宿のそばの大木から聞こえたのは?
そう、キーワードはカッコーの鳴き声(ソ・ミ)だったのさ。
謎が解けたことを言い、宿のおかみさんに木の下を掘らせてもらうことになった。木の根元あたりはすき間ができていて、そのすき間からは「月光橋」と「洞窟温泉」がまっすぐに見える。
そのすき間の下の土の部分を掘ってみると、やはり・・・古い木の箱が出てきたのである。
いざ、お宝を期待して箱を開けてみたが・・・中に入っていたものは、名前の入ったボロ布と、それにつつまれた数個のクルミの実だった。 ははは・・・! お宝は「埋蔵金」ならぬ「マイ(My)ぞうきん」かい。
半年がたち、忘れていたころに月光村から招待を受けた。 月光村はすっかり雪におおわれていた。雪の夜、村長直々に「洞窟風呂」へ招待される。部屋で、名物の「くるみもち」をさかなに、最高級の地酒をいただく。中学1年生で天涯孤独の身になり、多くの苦労をしょいこんだ加古川氏にとっては小学生の頃の楽しい思い出と、親が作ってくれた「くるみもち」は忘れられないものだったようだ。
しばらくして、洞窟風呂に誘われる。村長曰く「これが、あなたへのお礼であり、懸賞金です。」・・・
雪はいつの間にか上がっていた。明るい月が・・・おお・・・これが雪明りか。この世のものとは思えない幻想が広がっている。村長は10分だけ、村中の明かりを消すように手配をしてくれていたのだ。
私は、心の中で言った。
「泥棒の心を盗むとは、たいした盗人だ。・・・くるみもちは、めちゃくちゃ う埋蔵!」
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