p.giro |
<登場人物> エイミー テル テルの父 ナレーター
(約15分) ![]() |
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(ナ)ぼくの名前はテル。夏休み、ぼくは両親と南の小さな島で過ごした。 両親の休暇と、体をこわしたぼくの静養のためだ。 そこで一人の女の子と出会った。名前はエイミー。 |
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「EIMIE」 syort version 2部合唱+バンド演奏 |
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(ナ)一人で散歩に出かけた。海に続く小道には、白い花がいっぱい咲いている。 ・・・・・そう言えば、ずーっと前に見たことがあるような気がする。 あ、誰かいる。・・・・・かみの長い女の子が白い花の前でしゃがんで何かしている。 近づくとその子もこっちを見た。 わっ・・・くちさけ女!思わずつばを飲み込んだ。口中血のように真っ赤だ。 (エ)「こんにちは」・・・ (テ)「・・・・・」 (エ)「島ははじめて?」 (テ)「う・・・うん」 (エ)「わたし エイミー」 (テ)「ぼくは テル」 (エ)「???あ!いちご食べてたの びっくりした?」 (テ)「う、ううん」 (エ)「食べてみる?」 (テ)「母さんにしかられる。」 (エ)「お母さんも小さいとき、きっと食べたよ。」 (テ)「え?・・・・・」 (ナ)野のいちごは、けっこうあまくてすっぱかった。その日は、ばれないように、口を洗って帰った。 |
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(ナ)数日後、海辺でエイミーと会った。エイミーは秘密のタイドプールに案内してくれた。
引き潮の浜で、いろんな生き物に出会う。何年かぶりに楽しかった。 それから海辺の小道を散歩。 エイミーは何か見つけては身につけたり、吹いて音を出したりして遊んでいる。 まるで、光る風のようだ。 |
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「光る風になる」 リコーダー3部+木琴TU 他 |
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(ナ)満月の夜、どこからともなくいいかおりがした。そのかおりにさそわれて、こっそり外に出た。 星がこんなにたくさん。天の川は光り輝いて水平線におちていく。 |
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「ミルキーウェイ」 ハンドベル+グラスハープ 他 |
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(ナ)林の中にエイミーがいた。
(テ)「エイミー・・・・・?」 (エ)「来ると思ってた。」 (テ)「え?・・・どうしてぼくが来るとわかったの?・・・」 (エ)「とてもいいかおりがするでしょう。」 (テ)「うん。あまくてとてもいいかおりがする・・・何のかおり?」 (エ)「あの木よ。一年に一度、夏の満月の夜に花が咲くの。」・・・・・ (テ)「ほんとだ。いままで見たことがない不思議な花・・・。そうだ、エイミーはなぜここにいるの?」 (エ)「お父さんとお母さんのことを考えていたの。」 (テ)「え?」 (エ)「私が生まれたとき、この島は大きな戦いにまきこまれたの。 父さんも母さんも、その時死んだわ。・・・・・その日もこの花がにおっていたんだって・・・・・」 (ナ)エイミーは泣いていた。 ふと気づくと、たくさんのきのこたちが緑色に光って、ぼくたちをつつんでいた。 不思議でやさしい光だった。 |
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(ナ)ぼくは知った。わかれがこんなにつらいなんて。 船は静かに走り出す。エイミーと出会った島が小さくなっていく。 島はとうとう見えなくなった。 「からだにさわるわよ」母さんが声をかけてくれたけど、ぼくはいつまでも海の夕日を見ていた。 (父)「島はどうだった?」 (テ)「とても楽しかったよ。また、来てみたいな。」 (父)「そう、それはよかった。・・・・父さんも子どものころ、この島に来たんだ。楽しかったな。 道端のいちごをばりばり食べて、浜遊びをして・・・夜は星がきれいで・・・そう、光るきのこを見た。 不思議な女の子といっしょにね。」 (テ)「え!・・・・・どんな子?」 (父)「かみが長くて・・・・・エイミーっていったかな。」 (テ)「父さん。ぼくもその子に会ったよ。いっしょにいちごも食べたし、海で遊んだし、緑のきのこも見た。 え!?そんな・・・・・」 (父)「・・・そうか・・・・・おまえもエイミーに会えたか。・・・・・」 (ナ)父さんはそう言って、にっこりほほえんでいた。 |
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[EIMIE] long version 2部合唱+バンド演奏 |
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