音楽クイズ NO.326 旅行者の災難 もしかして(一般) 答 |
交番に戻り、管内で営業している石焼き芋業者に電話した。そして、三時過ぎに公園脇の道路を軽自動車でゆっくり流していたことを確認。旅行者の行動とことばがつながってきたように思えた。ただ、まだ「もしかして」の想像の段階でしかないが。 翌日の朝、旅行者の意識が戻ったが、まだ朦朧とした状態であり、面会謝絶ということだ。また、午前中、落とし物としてスマホが交番に届けられた。アプリのアイコン表示は全て英語で、ギャラリーの最新の写真にはラーメン屋台のパネルと公園脇の道路を行く石焼き芋の軽自動車が小さく映っていた。旅行者のものに間違いないだろう。彼が階段で転倒したとき、勢いよく手を離れ、研修センターの少し高くなっている花壇まで飛んで、残っていた雪だまりの中に落ちたと思われる。
さらに翌日、病院から短時間の聞き取りが許された。彼の症状は、後遺症の心配がないではないが、脳波等の検査は異常なく快方に向かっているそうだ。確認の上、スマホを返却し聞き取りを始めた。 彼によると、年末年始は諸行事や町の様子などをあちこち撮影して回っていたようだ。あの日は都下の安いホテルに泊まり、のんびりしようと思っていたが、思わぬ雪景色に誘われて散歩に出かけたと言う。怪我は襲われたものではなく、単独の事故であることが分かった。 私の突飛な思いつきは次のようなものだった。「ラーメン屋台」、「石焼き芋」をつなぐのは、「スリ」ではなく「スリー・ノート(音符)…」ではないか、彼は屋台とその音楽(三音でできている)に興味があったのではないかというものだった。 彼の話の中でそれは明らかになった。彼は実物のレトロなラーメン屋台とチャルメラの響きを撮影・録音したいと思っていたが叶わず、せめてもとラーメン店のパネル写真を撮影。楽器店の前で「♪い~しや~きいも~」の声をきいて近くで撮影したくなり、急ぎ足て追いかけ、歩道橋の階段で雪で滑って転倒したということだ。婦人のことはうろ覚えで、何を話したかは覚えていなかった。自分の事故に恐縮しながらも、彼は流暢な日本語でこう言っていた。「哀愁のスリー・サウンズですね」と。 私の「もしかして」も、まずまずだったかな!? 交番へ帰る途中、今回の事故でヒントになった楽器店のウインドウに張ってあるコンサート・ポスターが目にとまった。… Guitar 楷藤萱蕗 KAITOU GIRO … 高尚な感じのする芸名?だが、警察官にとってはにくにくしい名前の響きだ。まあ「もしかして」はないだろうが…。 (※)「い~しや~きいも~」前後のフレーズで、他の音が使われることもあり。 |