音楽クイズ NO.187 


 イルミネーションの点滅が、秒針と同じ速さということは、=60 で、1分間に60回、1秒に一回点滅する。108回の点滅分の時間は、108÷60(1分間の拍数)=1・・・48。ギロの待った時間は、1分48秒だった。

◆近くの料理店で・・・

 「わずか2分足らずじゃない。ギロさん、さんざん待たされたみたいに言うわね。歳のせいで、せっかちになったんじゃない。」

 「ははは、そう言わないでくれたまえ。早く君にこれを届けたかったのさ。」と言って、ギロは四角い包み紙を差し出した。

 「あら、クリスマス・プレゼント? うれしい! 開けてもいい?」

 「どうぞ、君が前から欲しがっていたものさ」 リンダはていねいに包み紙を開けた。

 「おお、何てこと!・・・」

 ギロのプレゼントは1枚の絵画だった。しかも、リンダがずっと探していたものだった。リンダのおじいさんは有名な画家だったが、多くの作品は、戦争で略奪されてしまった。リンダは、愛するおじいさんの、不当に略奪された作品を回収するために、女泥棒になった。

 「ギロさん、ありがとう。・・・大きな借りができたわね。・・・さすがだわ。」リンダはガラにもなく涙ぐんでいた。最も思い出のある絵だったのだ。

 「それから、もう一つ。」ギロは、すてきなネックレスを差し出した。

 「え!これ、わたしがつけていたネックレスじゃない。・・・本当に油断もすきもないわね。」

 「さっきの財布のお返しさ。」

 「ギロさん!!可愛い娘を泣かしておいて、人の物を奪うなんて、最低!

108回のイルミネーションの点滅で、少しは、心の煩悩をはらったらどう?」

 「ありがとう、そうさせてもらうよ。」

 ウィンドウの外は、いつしか雪になっていた。

 メリー・クリスマス。