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音楽劇 「言魔の森で」 2000

音楽劇 「言魔の森で」 2002 はこちらから

                                              p.giro

                                                       (約17分)

登場人物    語り  リュウ  アムル(蝶)  言魔伯爵  言魔衆(けらい)

 

 

♪「序奏」<ハンドベル、ベース>   

語り

ある夏の暑い日、リュウには、すべてがどうでもよくなっていました。

リュウは、ゆうれいのように町をさまよい、いつのまにか、町外れの森の中を歩いて

いました。

第1場  
リュウ

うるさい蝶だな。つきまとうな!・・・しつこいな、あっちへ行け!

行かないとたたきおとすぞ!

あ、・・・本気じゃなかったのに・・・まだ生きてる・・・

ま、蝶なんかどうでもいいか・・・どうでもいいさ。

  ♪ 「どうでもいいさ」(リュウ)・・・<ピアノ、ベース、ドラムセット>

 どうでもいい どうでもいい どうでもいいさ いいさ

リュウ え、どうしたんだ。うすきみわるいな・・・・・うわーっ・・・
第2場  

リュウ

「うーん、ここは・・・何がおこったんだ。・・・・・あ、きみは誰?」

アムル 「私は、あなたにたたき落とされた蝶よ。・・・もう、飛べないかもしれない。」
リュウ

「ぼくはきみをたたき落とそうとしたんじゃない。うるさかったから、追いはらおうと

しただけなんだ。」

アムル 「その上、あなたにまきこまれて、ここへつれてこられたのよ」
リュウ 「え?ぼくにまきこまれたって?つれてこられたって?どういうことさ。」
アムル 「ここは、言魔の森よ」
リュウ 「え?言魔の森だって・・・」
  (言魔伯爵登場)  
伯爵 「その通り!・・・ようこそ、ぼうや。言魔の森へ」
リュウ 「だれだ、お前は。・・・言魔の森って何なんだよ」
伯爵 「私はこの森の主、言魔伯爵だ。ぼうやのリクエストでここへ連れてきてやったのだ。」
リュウ 「何だって・・・ぼくはこんな所へ来たいなんて、一言も言ってないぞ!

早くもとの所に返せ!」

伯爵

「何を言う!ぼうやは言ったではないか。どうでもいい と。(どうでもいい)

おー、なんと言う美しい言葉だ・・・。この言葉こそ、この森へのパスポートなのさ。」

 

♪「どうでもいい」(言魔衆)<バス木琴、ピアノ、キーボード、ベース、ドラムセット、ティンパニ>

どうでもいい どうでもいい どうでもいいさ

どうでもよければ こわくない 気にすることなど ありゃしない

伯爵 「そして、この森に出口はない・・・どうでもいいんだろ。それともこわいのかい?ぼうや」
リュウ 「こわくなんかないさ。それに、ぼくはぼうやじゃない!リュウだ。」
伯爵

「ほーっ、リュウか。いい名前だ。・・・だが、名前などどうでもいい。

おまえはそのかわいい蝶をどうでもよくたたきおとした・・・」

リュウ 「ちがう、ぼくは・・・」
伯爵

「お前にはなかなか見所がある、いいわけなどよせ。」(いいわけなどよせ)

「だれもきかない。」(だれもきかない)「どうでもいいことさ。」(どうでもいいことさ)

リュウ 「・・・・・」
伯爵 「何をまよっている、そんなにもとの生活が恋しいのか?」(恋しいのか)
リュウ 「恋しくなんかないさ。」
伯爵 「お前の本当の願いをだれか聞いてくれるか?」(きいてくれるか)
リュウ

「きいてなんかくれないさ。ぼくのために と やさしさのお仕着せさ。にこっとわらって

ほめられて、いい子になってりゃそれでいい。ぼくの願いなどどうでもいいのさ。」

伯爵 「仲間は?」(仲間は)
リュウ 「自分をかくして、あたりさわりなく話を合わせるだけ。信じられるやつなんかいない」
伯爵 「そんな世界に何を義理立てる必要がある。・・・もう、どうでもいいんだろ」(いいんだろ)
リュウ 「ああ、うんざりだ!・・・・・どうでもいいさ!」
  ♪「どうでもいい」(言魔衆)<バス木琴、ピアノ、キーボード、ベース、ドラムセット、ティンパニ>

 どうでもいい どうでもいい どうでもいいさ いいさ

 どうでもよければ なやまない 苦しむことなど ありゃしない

伯爵 「よく、言った。それでこそ、この森にふさわしい。ワッ ハッ ハッ ハッ ハッ・・・・」
リュウ 「消えてしまった・・・どうでもいいか。もう、つかれたよ」
第3場  
 

♪「できることなら」(アムル)・・・<ピアノ、キーボード、ベース、ドラムセット>

月の光も とどかない 

小鳥の歌も きこえない

できることなら 青い空の下

かおる風の中を もう一度 飛びたい

アムル 「ごめんなさい。・・・・・」
リュウ 「なぜ、あやまるんだ。・・・なぜ、そんな目でぼくを見るんだ。

・・・なぜ、もっとせめないんだ。」

アムル 「あなたとは友達になれそうだから。・・・リュウ、あなたは感じる心を持っているわ。」
リュウ 「友達!?感じる心!?・・・・・そんなもの何になる。ぼくには、もう、どうでもいいことさ」
アムル

「だけど、その心が、あなたも気づかないうちに、動き出しているの。

何か大切なものを見つけようと、もがいていて、だから苦しいの。負けないで、リュウ」

リュウ 「いまさらそんなこと・・・むださ」
第4場  
  (伯爵登場)  
伯爵

「ごきげんいかがかな。・・・ん!何を迷っている。・・・

そうか、その蝶の娘が良からぬことをふきこんだのだな。・・・

2度とよけいなことを言えぬよう、はねをむしりとってやる!

かまわんな、ぼうや」

リュウ 「ぼくには関係ない」(どうでもいいさ)
アムル 「リュウ・・・!」
伯爵 「ハッ ハッ ハッ・・・ものどもその蝶をとらえよ!」(おー)
  ♪「どうでもいい」(言魔衆)<バス木琴、ピアノ、キーボード、ベース、ドラムセット、ティンパニ>

どうでもいい どうでもいい どうでもいいさ

どうでもよければ なやまない 苦しむことなど ありゃしない

伯爵 「さあ、ショータイムの始まりだ。ものども、はねをむしりとるがよい。」(おー)
リュウ 「まて!やめてくれ」
伯爵

「ぼうや、何をする。気でもくるったか。

・・・名もない蝶の羽、どうなってもいいではないか。

じゃまをするんじゃない(じゃまするな)

・・・同情か、それともこの娘にたぶらかされたのか。」

リュウ 「ちがう。自分で決めたんだ。その子ともっと話がしたいんだ。」
伯爵

「自分で決めただと・・・やめとけ、悩むだけだぞ。

どうでもいいのが一番だ。そこをどくんだ!」

リュウ 「いやだ、友達になりたいんだ。」
伯爵

「友達だと!やめとけ、うらぎられるだけだ。

どうでもよく生きれば、苦しむことなどないのだ。」

リュウ 「・・・ぼくは、自分に素直に生きたい。・・・自分らしさを見つけたいんだ。」
伯爵 「な、なんてことを言うんだ!・・・・うわーーっ・・・・・・」(うわーーっ・・・)
第5場  
  (リュウ目をさます。1羽の蝶がリュウのそばを飛ぶ)
語り

リュウは、何もおぼえていませんでした。でも、何かが変わっていました。

心の中に、小さな勇気と自信がわいてきました。

そして、そばにいる一匹の蝶がとても大切に思えたのです。

リュウ

もう、夕方かぁ。そろそろ帰らなきゃ。おまえも早くおかえり。

お前を見てたら、何か、気持ちが落ち着いた。・・・そうだ、名前をつけてやろう・・・

ア・ム・ル・・アムルにしよう!・・・気に入ったかい?・・・

ありがとうアムル・・・じゃあな・・・。

  ♪「名前を下さい」(2部合唱)<ピアノ、キーボード、ベース、ドラムセット>

名前を下さい ひとつだけの あなたが自分で つけた名前

名前を下さい あなたらしい 夢がたくさん つまっている

もしかしたら 2度とは来ない 心ときめく 出会いの時

名前を下さい あなただけが かなえられる すてきな名前

 

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